2013年09月18日

「MOMOがゆく」 第3章 くまベルはお留守番

「MOMOがゆく」ファン(いるのか、そんな人?!)の皆様、ご愛読ありがとうございます。

きょうは第3章をアップします。
物語はこれから、チームMOMOのみんんが、どんどん登場して、それぞれの熱いレースを展開してゆきますので、乞うご期待。
Yos

第3章 Shoka くまベルはお留守番(小学6年生女子)

「あれ、なんだか静かだな」とShokaは思った。

スタートのときの声援はすごかった。あれは今までのレースで一番大きかった。
しかし、今まで経験をしたことのないような大声援の中でも、Shokaはしっかり集中していた。
スタートでは、パパ(MOMO総監督gen)の指示どおり、「U太はぜったいコケない」と信じて、その後ろにぴたりとついて、全力で踏んだ。そしてやっぱり、U太は「ぜったい」だった。

6年スタート.jpg
男子と女子が混走するレース。スタートは、チームメイトのU太に、ぴたりとついていく

ありがとね!U太!私はもう大丈夫だから、先に行っていいよ!

いちばんの不安だった、ぬかるんだシングルトラックを、順位を落とすことなく、うまく抜けることができた。今朝の試走のときに、シンスケさん(MOMOをサポートするバイクショップ、bike room SIN店主)が、「シングルトラックまでに競り合いに決着をつけて、シングルに入ったらコケないように、慎重に」と教えてくれたとおりに。

オーバルコースから見える観戦ポイントの上り区間で、Shokaのすぐ前を、昨年の覇者が走っていた。
この大会でも連覇を重ねてきた彼女は、小学生MTBレースにおける『絶対女王』とでもいうべき存在だ。
Shokaは彼女のことを、大きな目標にして、この一年間トレーニングを積んできた。

言うなれば、彼女の存在こそが、Shokaをここまで引き上げてくれたのだ。Shokaだけでなく、MTBレースを戦う女子選手みんなにとって、彼女は大きな目標だ。
だが、きょうの彼女は、数週間前に負った骨折負傷と、それによる練習不足のため、決して万全のコンディションではない。気力で走っているのが、傍目にも分かる。だから彼女にも是非頑張ってほしい。ライバルとはいえ、惜しみない声援を送ろう。

Shokaは迷った。「後ろについて体力を温存し、チャンスを待つか、それとも前に出て、自分の走りをするか」
一瞬の迷いの後、Shokaはギアを2つ上げ、ダンシングに切り替える。

パパと、この大会を目標にして、1年間頑張ってきた。
そして「きょうはその成果を、全力を出そう」と決めていた。
だから、あとで後悔をするような走りはしたくない。
全力でぶつかって、負けたら、それが今の私の実力なんだ。

左から彼女をパスしてゆく。
上りのダンシングは、踏みすぎに注意しなければならない。パワーのかけすぎで後輪が一瞬でも滑ったら、一巻の終わりだ。失速し、最悪の場合はバイクが横を向いて落車する。
よし、上手くいった。
さらに後輪のトラクションに意識を集中しながらギアをかけ、加速しながら坂の頂点を越えた。 「坂のてっぺんで失速しない、パパと何回も練習したとおり」そして、スピードの出る長い下りを走っているときだった。

それにしても、「どうしてこんなに静かなんだろう。それに、スピードが出ているはずなのに、前を走る男子選手たちの動きが、とてもゆっくりに見える」と、Shokaは不思議に思う。

ああ、いつもサドルの下で鳴っているベルの音がしないから、静かなんだ。試走のあと、Yosが、「この音はShokaがどこにいるかを、ライバルに教えてしまう」って、外しちゃったのった。
でもあのベルは、山では熊から、街ではクマより恐い暴走ママチャリのオバサンから、私を守ってくれていたし、「カンカラカンカラ、頑張ろう!」っ応援してくれている気がするから、ないとちょっと寂しい。
クーラーボックスのハンドルでお留守番させちゃってごめんね。でもこれは、『せんりゃく』だから。レースが終わったら、すぐにまたつけるからね。ちょっと待っていてね!

さあ2週目。思ったより疲れていない。
あ、パパだ。近くにUpapaとYosもいて、3人とも、なんだか心配そうな顔をしている。そしてパパのあの顔は、私に何か言いたいときの顔。

それもそのはず、このときgenは、予想よりはるかに速いペースで(それも、男子の先頭集団に混じって!)オーバルコースに戻ってきたShokaを見て、「あれで最後まで持つのか」と、不安になっていた。何か言いたそうなその顔は、「ペースを落とせ」と、喉まで出かかっていた顔だったのだ。

しかしShokaにしてみれば、先週のMTBサマーキャンプの6日間のうち、4日はここを走りこんだのだから、このコースを2周するということを、そして、それがどれだけの体力を必要とするかということを、よく分かっているつもりだった。

だから、オーバルのストレートでさらにスピードを上げ、前をゆく男子選手に迫ったとき、心配顔から、こんどは「げっ!」というような驚き顔に変わったパパたち3人を見て、「どうしてあんな顔するのかなあ」と、Shokaは首をひねる。

Shokaの「全力」の2週目が始まる。もう前には、男子選手しかいない。

Shokaストレート.jpg
レースは最終周回。Shokaの、全力のアタックがはじまった


posted by Yos at 00:05 | Comment(1) | MOMOがゆく | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
カッコいい〜〜〜〜〜
Posted by gen at 2013年09月18日 19:30
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。