2013年10月25日

「MOMOがゆく」 第7章 純真のMackey 持って生まれたセンス

第7章 純真のMackey もって生まれたセンス

Mackey上り.jpg

 いつもは天真爛漫(てんしんらんまん=純真そのもので、思うとおりにふるまうこと:岩波国語辞典)に明るい、チームMOMOのムードメーカー、Mackeyが、歯をくいしばって、この難しいコースに挑んでいた。MTBサマーキャンプに参加したメンバーとは違い、昨日と今朝の試走を走ったのみ、という苦しい条件で。1周目を終えようとするとき、Mackeyは突然、足がガクリと重くなったのを感じた。

 スタートダッシュのときには後ろにいたD地は、1周目のなかばでMackeyをパスして先行し、今はもうその背中が見えないぐらい先をゆく。(D地は今回のサマーキャンプで、ぐっと速く、たくましくなっていた)
 起伏に満ち、長い上りを有する、このタフなコースは、そこそこMTBに乗れる大人でさえ、初めて走るときは難しい。スピードの出るガレ場の長い下りや、ぬかるんで滑るうえにドロップの相次ぐ泥のシングルトラックなど、「怖い」と思うパートもある。
 しかしMackeyは、昨日、試走で初めてこのコースを走ったときに、怖いどころか「楽しい!」と感じたのだった。Mackeyはいつも、自転車に乗るのを純真に楽しむ。それは大好きな仲間とのサイクリングでも、レースでも、同じだった。

 Mackeyには、抜群の身体能力がある。
 2回のMTBサマーキャンプを経験し、ライディング・テクニックが上達したMOMOのキッズたちは、今では、ぜんいんが、スタンディングやジャンプ、ウイリーといったライディングを身につけた。ちなみに現在のスタンディングのチャンプはJJで、ピタリと止まる彼女のスタンディングは2分以上、まるで静止画像のように動かない。
 しかし、まだみんながMTBに乗り始めて間もないころ、スタンディングができたのは、実はMackeyだけだった。特に練習したわけでもなく、天性のバランス感覚で、できてしまうのだ。日常的に自転車に乗るサイクリストでも、ペダルに両脚を乗せたままピタリと止まる「スタンディング・スティル」は、実はできない人のほうが多い。
 ウィリーにしてもしかりで、Mackeyだけが、ひょいと前輪を持ち上げ、なんとクルクルと数回、脚を回すことさえできた。本人にしてみれば、みようみまね、というか、きっと「やってみたら、できた」ぐらいに思っているのだろうが、自転車に乗る人間なら誰でも分る。それはふつう、やっても、できない。
そうなのだ。Mackeyには、生まれ持った、高い身体能力がある。Yosは、その点ではMOMOのメンバーの中で、Mackeyが一番なのではないかと思うことがある。

 あらゆるスポーツにおいて、「こうやろう」と思って身体を動かしてみても、なかなかそのイメージ通りにできるものではない。いやむしろ、できないことのほうが圧倒的に多い。もしも簡単にそんなことができたら、例えばゴルフなら、すべてナイス・ショットだ。しかしプロの選手でさえ、そんなことは有り得ない。
 だからイメージどおりに身体が動くように、現実との段差を埋めるのが「練習」なのだが、持って生まれた、素質やセンスが高ければ高いほど、当然その差は埋まりやすい。(まあもちろん、レベルが高くなればなるほど、理想との小さな段差が、埋まらなくなってはゆくのだが)
 自分の身体を動かすのさえイメージどおりにはいかないのに、「自転車」という(身体以外の)機材を介してそれをやるのは、いっそう難しい。自転車と一体になって、ひとつの動きを完成させるためには、前後左右のバランスはもちろんのこと、ブレーキ、ギア、ぺダリング・・・それらを瞬時に、自転車という機材を介して、地球に、あるいは空中に、伝えなければならない。それも、ほとんど無意識に。
 前置きが長くなったが、Yosの見るところ、自転車に乗るということにおいては、Mackeyが、その差を埋めることに、いちばん恵まれているのだ。だからきょうのレースでも、Mackeyを見ていると、「あの天性のセンスを持ってして、もっと自転車の練習をすれば・・・これは巧く、そして速くなるな」と、感心しつつ、少し残念にも思う。
 進学に向けて、いまMackeyは、勉強に力を入れている。学習塾の夏期講習とバッティングしたため、先週のMTBサマーキャンプには参加していない。

 きちんと、勉強する。これは大切なことで、MOMOではこのことも大切にしています。勉強を放ったらかして、好きなことばかりやっていては、正しい考えかたや行動ができない大人になってしまいます。(Yosの、まったくの独断と偏見ですが)たとえば、子供のころから学校にも行かずにTVに出て、チヤホヤされた芸能人などがそうですね。むかしS〇〇〇Dっていう小学生がデビューして「Steady(ステディ=恋人)」という歌をうたったときは、「おいおい、小学生はそんなことより、Study(スタディ=勉強)でしょ」と、ちょっと心配になったものです。けれども、ちょっとぐらい勉強を忘れても、芸能界とか、ネットゲームとかとは違って、自転車なら大丈夫です。(まったくの独断と偏見ですよ!くれぐれも)。
 これも余談(よだん=まあ、どうでもいいこと:Yos)ですが、 今のMOMOの子供たちにとって、48といえば、もちろんAKBでもNMBでもなく、フレームサイズです。「ShokaとU太がロード組むなら、フレームサイズは48だよね」という使いかたこそが、正しい。
 Gen、Upapa、YosでMOMOのキャッチコピーを考えたとき、「シュクダイ、スンダ?」にしようかと、本気で話し合いました。そうです、MOMOはまさに、文武両道(ぶんぶりょうどう)。

 おっと、本題に戻んなきゃ。
 Mackey、この子はいつも、動いている。気がつけば周りにある環境やモノを使って、遊び、動いている。横に渡った棒があればぶら下がり、通路では、壁に手足を突っ張って、忍者のように上がる。高くて尖ったものがあれば、気がつくとその上に立っている。そのあとの、Mmamaの「こらー、M(本名)、降りなさい!」という声とセットで。(いやもちろん、ナントカは高いところに・・・ってワケじゃないですよ・笑)
 Mackeyの、それらの動きを見ていると、彼がいかに高い身体能力とバランス感覚を持っているかが、よく分かる。MOMO以外にも、サッカークラブにも籍を置くMackey、Yosはそのプレイは見たことがないが、サッカーもきっと上手いのだろう。
 しかし今は自転車レースだ。全国小中学校マウンテンバイク大会、6年生男子。
 Mackeyの練習不足は否めない。持って生まれた身体能力は、たしかに多くの面をカバーしてくれるが、きょうのように、山を走るクロスカントリーレースにおいては、それよりも圧倒的に、練習量が勝負を決める。
もともと人間の脚は、回転運動をするようにはできていない。その回転運動を続け、クランクを回し続けるということは、いわば「設計外」の動きを続けるということであり、だから自転車は、持って生まれたセンスだけでは、決して速く走ることはできない。自転車で速く走るためには、自転車に乗る練習をするしかないのだ。

 その練習不足の必然が今、Mackeyの足を襲っていた。ガクリとスピードが落ちて、得意のバランスが必要とされるパートでも、踏ん張りがきかない。
 練習不足というより、ほとんどぶっつけ本番なのは、Mackey自身も周囲も分っているから、今回は順位には、あまりこだわっていない。それでも、この前までは自分より遅かったD地が前を行っているのだから、頑張らないわけにはいかない。自分も、このあと3年生のレースを走る妹のKNも、チームMOMOの一員なのだ。勉強だって、レースだって、頑張るときは、精一杯頑張る。
きょうのレース、「ベストを尽くす」というのが、総監督genからの至上命令だった。(しじょうめいれい=ぜったい、こうしなさい、という命令:gen)

 いつもの明るい笑顔は、今は少しだけ横に置いておこう。Mackeyの顔に、真剣な表情が漲る(みなぎる=あふれ出るばかりに満ちる:岩波国語辞典)。
 ゴールを目指して、Mackeyが、ベストを尽くす。


posted by Yos at 14:22 | 東京 ☁ | Comment(0) | MOMOがゆく | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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