2014年06月01日

MOMOがゆく「負けないということ」

きょうは、Jシリーズ、お疲れ様!
Shoka、U太、D地、Mackeyは中学生、KK、JJ、KNは高学年になって、ライバルも増えたと思うけど、みんな頑張れ!
きょうの殊勲賞は、やっぱり1位になったKKかな。
久々の「MOMOがゆく」は、そんなみんなに贈る、応援の一章。
さあみんな、燃えろ!やる気になれ!

ちなみに、Yosは今、転倒(情けないことに、落車じゃなくて、家の階段で)による負傷。前十字靭帯および半月版損傷で、自転車どころか、歩くのも松葉杖(アルミ製で軽い!)です。今は週2回の通院でリハビリ中。
ってことで、執筆活動に専念?

MOMOがゆく
負けないということ
D地(中学1年生)

「よし、ひと桁には入った!」ゴールラインを越えたとき、D地は右拳をにぎりしめ、小さくガッツポーズをした。それは自分の中での、目標を達成したことへのガッツポーズだった。
レースを制し、他のライバルすべてを後ろに従えての、優勝のガッツポーズは、確かにカッコいい。それは勝った者のみに許される栄誉だ。
8位でのゴール。もちろん、優勝したのではない。今の自分に、このレースで優勝する力はないことを、D地自身はよく分かっている。それでも自然にガッツポーズが出てしまうのは、自分の中での目標、「10位以内」を達成できたからだ。
「ひとつ一つ、目標を達成してゆくのが、僕のやり方だ。そしていつか、必ず一番になってやる」切れ長の目を少し細めながら、D地は、きょうもまたその思いを強くした。
「眩しいな」と、達成感とともに、額の汗をぬぐいつつ、D地は青空を仰いだ。
レース中は、コースの一点を集中して見るから、小さく焦点が絞られていた瞳孔が、ゴールのあとに緊張を解いたからだろう。初夏の日差しが、「メガネのN島」でママが奮発してくれた、ぴったりとフィットするルディ・プロジェクトのアイウエア越しでも、ひときわ眩しく感じられた。

2014年6月1日、富士見パノラマで開催された「Jシリーズ・オープンクラス」。
同日開催のa.b.c.カップに、ライバルたちの幾人かは振り分けられたものの、昨年の全国大会優勝者も出場した、きょうのレースで、「ひと桁(つまりトップ10)」に入ったことで、D地はまたひとつ、目標を達成したのだった。

チームMOMOが結成され、MTBレースに出始めたころのD地の定位置は、後ろから数えた方が早かった。それどころか、かろうじてブービー賞ということもあった。
その頃、D地より早くからレースに親しみ、体格と体力にも勝っていたShokaとU太が表彰台に立つ姿を、D地は、拍手で祝福しながらも、「いつかは僕だって…」とうらやましく思わなかったと言えば嘘になる。

だから、D地は練習した。雨の日も、風の日も、雪の日だって、練習した。体重の軽い自分が有利な上りでのアドバンテージ(有利なところ)を大きくするために、たくさん、たくさん坂を上った。SINの走行会では、700Cロードバイクの大人たちに、26インチのMTBで喰らいついて走った。
そしてその努力は今、スタートダッシュのときのスピードとなった。「D地のロケット・スタート」は、今や誰もが認めるD地の代名詞になり、クラス別ではあるが、表彰台にも上がった。

スタートで、D地が飛び出す。U太よりも速く、Aキよりも先に。D地が、先頭集団の強豪たちを引き連れて、誰よりも速く、1コーナーに飛び込んでゆく。その時、猛スピードで突き進む三角形の頂点に自分がいるのを、D地は心地よく感じる。「今、この瞬間は、間違いなく、自分が誰よりも速いんだ!」(そうなんだぞ、D地!)

D地は知っているだろうか?そのときD地のスピードが、後を追うライバルたちのスピードを上げ、ひいては、レース全体のスピードを上げていることを。そしてレースは序盤から全力疾走の展開となり、いや増すスピードに伴って、緊張感のあるレース展開となるのだ。
そしてそれは、観客からすれば、「見ごたえのあるレース」になる。自分のロケット・スタートが、そんなレース展開の発火点になっていることを、D地自身は、おそらく知らないだろう。

余談であるが、かつて、ツーストローク500ccを頂点とするオートバイのGPレース(現在のモトGPに相当する)に、「ロン・ハスラム」というイギリス人のライダーがいた。当時のGPレースのスタートは、エンジンを停止した状態でライダーが走り出し、その後にバイクに飛び乗りながらクラッチをつないでエンジンを作動させる「押しがけ」という方式だった。
ロン・ハスラムは、この押しがけスタートが、めっぽう速かった。そして彼の「いでたち」がまた異彩を放っていた。派手なスポンサーのイラストやロゴが入っているヘルメットやレーシングスーツが当たり前のGPライダーの中にあって、ただ一人、純白にRHのイニシャルだけが書かれたヘルメットに、何のロゴもない真っ黒な革ツナギという、シンプルすぎる彼の姿は、極彩色に彩られた集団の中で、逆に一際目立ったものだった。
スタートのライトが点滅するや、ロンは誰よりも速く駆けて、誰よりも早くバイクのエンジンに火を入れる。そして、その白ヘルに真っ黒な後ろに、カラフルなロゴに身を包んだGPライダーたち(ケニー・ロバーツ、ワイン・ガードナー、フレディ・スペンサー、ケビン・シュワンツ…といった、名だたる世界チャンピオンたち)を従えて、第1コーナーへ突っ込んでゆく。
そのスタートからつけれれた、「ロケット・ロン」というニックネームは、当時を知るオートバイファンには、忘れられないものだろう。ちなみに、この章を書くにあたって、彼の成績を調べてみたら、年間ランキング4位が最高で、GPの本戦では1勝もしていない。まさに、「記録より記憶に残る」ライダーだった。

閑話休題。
だからと言って、D地がスタートだけ速くなって、「ロケットD地」と呼ばれろ、なんてことは、もちろんない。

D地(以下僕)は、よく思い出す。Yosさんが言った「ShokaとU太が5本上るのなら、D地は10本上れ」という言葉。だから僕は、たくさん、上った。
Yosさんが高知に去る冬の朝、お別れと、日光への修学旅行のお土産を届けた僕を抱きしめて、Yosさんは言った。「D地、負けるなよ」と。(お土産は「見ざる、聞かざる、言わざるの」マスコット、Yosは大切に、車のキーにつけています)

何に、「負けるな」と、Yosさんが言ったのか、その時の僕には分からなかった。
けれども今なら、僕にはそれが分かる。
もちろん、きょうの8位は、1位や5位に比べれば、「勝ち」じゃない。でも、Yosさんなら分かってくれるはずだ。僕は、「負け」てはいない。
なぜなら僕は、精一杯、戦ったからだ。抜かれてもあきらめずに、自分の持つ力の、すべてを出して、走ったからだ。「全力」で走ったあとって、本当に気持ちがいい。
でも、もちろん僕は、Yosさんが、「よし、これでじゅうぶん頑張った」とは言わないことも知っている。Yosさんはきっと、「よしD地、こんどは5位よりは上にいかなアカンやろ」と言うはずだ。
今はまだ、僕はスタートでのスピードを、ゴールまで維持できない。でも、僕はあきらめない。たくさん、たくさん練習して、いつか必ず、誰よりも速く、ゴールラインを越えてみせる。
そして、そのときの、ママとパパの笑顔を見るのを、僕はとても、楽しみにしている。あっ!もちろんYosさんの笑顔もね。



あとがき:
いつか、レース帰りの夕方にD地を送ったとき、彼の部屋を見ました。壁には、ワンピースのポスター並んで、レースのコースを示すテープで飾られていて、ひと目見て、D地が自転車を、心から愛しているのが分かりました。あのとき、疲れたD地は車に乗ってすぐ眠っていましたが、もちろん、夢の中でも、自転車に乗っていたのでしょう。幸せそうな、素敵な寝顔でした。頑張れ、D地!


posted by Yos at 19:34 | Comment(4) | MOMOがゆく | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
久々の投稿ありがとうございます!締め切りはとっくに過ぎてますよ(^_^;)
ぼくもリザルトみて、おどろきました。やるな、D地!!最近、テクニックも向上してるし。
(つうか、リザルトだけで、これ書いたんですか?)
Tキくんも加わり、MOMO中学生班いい感じですよ。
Posted by Upapa at 2014年06月01日 22:40
いつの間にか取材してたんですね〜!(^^)!
びっくりです。
新章スタートですね?
執筆時間がたっぷりあるようですね!これからの続編が楽しみです。
実は部屋に張ってあるのは、○ンピースの特大ポスターでした〜。
コーステープは、確か、緑山のレースに出たときに貰ってきたものだと思います。
あとがきもYosさん流で、D地と楽しく読ませていただきました。(^.^)
D地、早くレースレポート出してね。
Dmama

今回のJシリーズはエリート達と同じコースを走れてうれしかったけど、コースは大変でした。
Yosさんとの約束は励みになっています。
また続きを書いてくださいね〜〜〜(^^)v
D地
Posted by Dmama at 2014年06月02日 12:46
Posted by Yos at 2014年06月08日 08:57
Upapa、Dmama、
ブログで知る、最近の上達状況。リザルト。
そして、レースのあとの電話で聞いた、「8位に入ったよ!」という弾んだ声。
そのくらいの情報ソースがあれば、このぐらいは書けるよ。僕はD地のことを、よく知っているからね。
それから、これはD地も含めて、MOMOのメンバー全員に言っとくけど、「僕は(私は)そんなふうに思ってなかったのに…」とかいう場合は、
「じゃかあしいわい!それなら今度からは、Yosが書いたとおりにせい!」ということです(笑)。
みんな、頑張れ!もちろん、続きを、Yosは喜んで書こう。でも、その物語を紡ぐ(つむぐ)のは、君たちだぞ!Yosはいつも、君たちがヒーロー、ヒロインになるのを楽しみにしています。
Posted by Yos at 2014年06月08日 09:08
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