2014年06月08日

「MOMOがゆく」番外編。幻の原稿発見!

Yosさんのパソコンに残された遺稿(死んでないって!)から、「MOMOがゆく」の原点を発見!

前章「あたらしい仲間」の書き出しでも触れましたが、昔に書いたエピソードが、面白い。(と勝手に本人が思っているだけ?)
これは、MOMOが、レースチームとして活動をはじめた、ほんの、はじめの始めのころのお話。いわば、「MOMOがゆく」の原点ともいえるエピソードです。だから文中の年月日については、「当時」のものです。それに若干修正や注記を加えています。
Yosはこんな感じで、SINに集う仲間や、MOMOのパパママたちに、自分が楽しみながら書いた文章をメールで勝手に送り始めたのでした。
まだスマホが今のように全盛になる前のことで、ケイタイの画面は小さかったので、受信した仲間からは、「あんな長文、読めるか!だいいち、全部受信できてないわよ!(by SKM48)」とか、文句を言われたものです。
それが今や、「次はいつ?」「続編が楽しみ」という励ましをいただけるようになったのは、嬉しい限りです。
これからも、ときに感動し、ときに泣き、そしてときには「くっくっ」と笑いながら、「MOMOがゆく」を書き綴っていけたらと思っています。そしていつかはそれが、「オリンピック出場までのノンフィクション」になったりして・・・と、かなり本気で考えたりしているのです。Yos

「MOMOがゆく」番外編
五丁目スポーツ外伝「頑張れチームMoMoと東大生! 」 何で東大生なんだ、読めば分かる!


解説:初めて読む方のために。「5丁目スポーツ」とは、バイクルームSINのチーム総監督(って言っても、べつに何にもしてないんだけどね)ことYosの、「総監督徒然草」(そういえば、徒然草の著者も、言わずと知れた『吉田兼好』)というようなものです。自分や仲間を取り巻く「自転車に関するよしなしごと」を、それこそ徒然なく(つれずれなく=ただなんとなく、思いのままを…てな感じかな)、監督目線で書き綴ったもので、ときにはコメディ、ときには感動物語で、短編小説やエッセイ風にしたものです。そんなふうに書いてますから、話が飛んだり、一貫性がなかったりしますが、それは何卒、お許しください。
長文ですから、すごーく暇なときに、その暇つぶしにでも読んでください。genちゃんなどは、「またかよ」と溜め息をついているはず(笑)。なおこれは、「限りなく真実に近いフィクション」ですから、「いやそれは違う!」とか、「そんなの勝手に書かないで!」などという野暮なことは言ってはいけません。
では、以下本編。

パララッパララッ…と、自転車仲間からのメール着信を告げる音で先日買ったばかりの(数年前のことなのでね)スマホが鳴った。さっそく受信リストをチェックすると、Upapaからの着信だ。なになに…。

「昨日は運動会の代休だったので、朝から幕張行ってきました。この前の奥の登りをまたいろいろと試しましたが、先日の登りはよいラインが見つかったので、試走でShokaちゃんにも試してもらうよう、U太に言ってあります。
1h耐久シミュレーションしましたが、28分で周回遅れにされました…(^_^;)
以下のメニューを夕方までかけて、こなしました。
点検 準備運動 サグ確認
ウォーミングアップ 30分
後半区間練習 5本〜
前半区間練習 5本〜
苦手な箇所の確認と反復練習
スプリント3周 2本〜
スタート練習 5本〜
耐久シミュレーション 1h 1本
何分でパパを周回遅れにできるか
(走行距離50km)
ご報告まで」

「こっ、これは!」。U太は、6月9日に幕張で開催されるabcカップの第1戦で、本気で勝つつもりなのだ。いいぞ、U太!Shokaも負けるなよ!KKとJJももちろんだ!Yosも応援に行くからね!ついでにShokaパパ(以下、gen)とUpapaも頑張ってね!いやもちろん一番たいへんなのはママたちです!(著者注:この一文に、この頃のママたちへのYosの気遣いが現れている。→「気遣い」というか、「いやまあ、子供たちに自転車ばっかり乗らせて!って、怒らないでよ。すんまそん」という言い訳)

まったく話が飛ぶという気もするが、昨夜のNHK「クローズアップ現代」は、元読売巨人軍投手の桑田真澄が、東京大学野球部のコーチに就任したドキュメントだった。その中で桑田は、無気力に連敗を続ける部員たちに向かって、「君たちは、なぜ野球をやるんだ?勝ちたくないのか?勝ちたいのなら本気で勝ちにいけ」と叱咤していた。
桑田コーチ曰く、「100球投げたら、よく練習したなあ、というような考え方があるが、それは間違いだ。ダラダラと投げる100球よりも、集中して投げる10球の方が、よっぽど意味がある。
だから今は、いろんなところに投げ分けようせず、10球のうち7球を、アウトローに決められるように練習をしなさい。練習では、アウトロー以外は投げてはいけない」というのだ。
練習で投げるのは、ひたすらアウトローのみ。そこに思いどおりに決められるようになるころには、既にどこにでも投げられるコントロールが、必然的に身についていると、桑田コーチは言う。だから、投手にとって勝負玉になるアウトローだけを投げ込めという理論だった。
174cmという、プロ野球選手としては小柄な体格だった彼は、余計なスタミナを使わないために、つまり球数を増やさないために、徹底的にそのコントロールを身につけた。なるほど!
そして東大生たちは、桑田コーチに感化されて、勝つことに本気になってゆく。(まあ、それでもまだ勝てないのだけど)
入団のときのゴタゴタもあって、現役時代の桑田のについては、Yos正直言って、あまり良いイメージは持っていなかったのだが、昨夜の番組を観てそのイメージが変わった。スゴイぞ桑田!(Yosも単純だが、いいものはいいのだ。意地になって、間違ったことを押し通しては、人格は進歩しません)
そして、その桑田の練習理論が、Yosの頭の中で、きょうのU太の練習や、大滝100kmを完走するためにgenが実行した練習と重なったのだった。

明確な目標を決めて、それに向かって本気になる姿は、美しい。見るものを熱くさせる。genの大滝100km完走もしかり。(いやあれには、本当に感動しました!)彼はその目標を達成するために、SINが主催する100kmを超えるロードバイクの走行会に、このところずっと、700・23Cのタイヤで軽々と走るロードバイクの中にあってただ一人、敢えてブロックタイヤのMTBで参加したのだ。それも、スペアタイヤや携帯ツール、補給食などを入れる本番と同じ重さにしつらえたバックパックを背負って。
その姿を見て、もしも「よくやるね〜」とか言うヤツがいたら、総監督はシバきたい。「それならお前、やってみろよ」と。Genからの完走報告のメールに、「こんな私でも完走できたことが嬉しい…」と書かれていたが、それは違う。「そんなgenだから」完走できたのだ。
同年代のオッサンたちの中には、「この歳でレースとかに出ても、無理なんかできないでしょ。月曜日の仕事のことを考えるとさー」などと言う人もいたりする。
しかし、そうじゃない。たとえホビーであっても、レースは「無理をするもの」なのだ。無理をしてどこが悪い。「できない」ではなくて、「やるか、やらないか」なのだ。それで月曜日の仕事中にヘロヘロになっても、それはそれで何とかなる(たぶん)。
そうやって、我ら自転車乗りは、次の目標を見つけ、次の自分と向き合ってゆくのだ。それは、ある者にとってはスピード、またあるものにとっては距離だったりする。
かく言うYos自信も、かつては「無理なんかできない・・・」というオッサンの一人だった。自転車に出会う前は。断言しよう。自転車には、人生を変える力がある。

去年9月のセルフディスカバリー大滝。42km完走者に、60歳を超えた女性がいた。表彰式での彼女への拍手とどよめきは、忘れられない。舗装もなく、一歩間違えば大怪我をするような激しい上り下りが連続する山道を、60歳超の「お婆ちゃん」が走り切ったのだ。
彼女に、賛辞以外の何を送れるだろう。「本気でやる」ことは、美しい。シワシワでも、彼女の笑顔はとても美しかった。

閑話休題。
さて、それにしても、次々に素敵なバイクを手に入れた、チームモモのキッズたちはどうだろう!ちょっと前まで20インチや24インチの、いわゆる「キッズバイク」で走っていた子供たちが、一斉に26インチの本格的なマウンテンバイクを手に入れて、走りはじめた。それも、自分たち大人の前を。
GenやYosは正直、「自分の前を、子供たちが走る」という現実に直面して、「ええっ!もう小学生に、負けちゃうの」とちょっと(いやけっこう)ショックだった。しかし、そのショックより、喜びの方がずっと大きかった。
上り坂では、子供たちのパワーウエイト・レシオにおけるアドバンテージは大きい。もちろん、きちんと脚が回せての話だが。それが、回せちゃうのだ。とくにShokaとU太は、上りが速い。そして3年生の妹分たちも、2人に引っ張られて、どんどん速くなってゆく。MackeyとD地だってそうだ。喘ぎあえぎ坂を上る大人の横を、彼らは軽やかに脚を回して、まるで重力から解き放たれたかのように抜いてゆくのだ。
けれども下りは、体重の重い大人の方が有利で、まだまだ速い…はずだ…その辺の、ちょっと乗ってるガキが相手なら!
だがU太は、その大人を、下りでも引き離す。それも、A 川さんや、Yosといった、仲間うちでは「下りが速い」といわれる大人を、だ。これにはビビった。もう参りました。

数週間前、五日市郊外の山のトラックに走りに行ったとき、今シーズンから、Jシリーズのエリートライダーとして活躍するノリちゃんが合流した。
五日市のその山は、アップダウンが激しく、速く走るにはテクニックを要する。
そこを、U太は初めてのコースにもかかわらず、ノリちゃんの後ろに張り付いて、嬉々として下ったのだ。テールスライドやジャンプを次々と駆使して下ってゆくU太に、Yosはついてゆくのがやっとで、途中の上りやギャップでスピードが落ちると、すぐに二人の背中が見えなくなるのだ。最後に、自分が怖くて斜めに逃げた1m以上のドロップを、U太がノリちゃんに続いて真っ直ぐ飛んだときに、「勝負あった」だった。
そしてそれ以降、総監督はもうU太に、あれこれ細かいライディングテクニックを教えるのを止めたのだ。
経験がある自転車乗りは、誰かと一緒に走ると、相手が自分より「上か下か」直感的に分かるものだ。そして相手が自分より「速い」のなら、それは自分よりも「上」ということになる。スピードにおいては、年齢や経験は関係なしで、「有無は言えない」のだ。だから「大人の方が子供より上」などという概念を持つのは、やめておくことだ。(ただしもちろん、公道を走るときには、まだまだ車とのやりとりや危険回避を教え、子供たちの安全を守ってやる必要がある)
このときYosがU太に思ったことは、「もうコイツは、乗ってるだけで、勝手に上手くなるだろう」ということだった。大人と子供では、体格が異なる。それが同じ26インチのMTBに乗るのだから、身体(からだ)と自転車の位置関係や動かし方は、自ずと異なる。それを、自分の感覚で言葉でU太に教えるよりも、U太自信が自転車と「会話」して体得する方が、正しいことだと、思ったのだ。

あれは緑山でのレースでのとき。自分たちのレースが終わって、ノリちゃんが出場する、Jのエリートクラスのレースを観戦したときのことだ。U太が、同じ場所を動かず、定点観測(観戦)をしていた。「U太、何でそこでばっかりで観るんや?」と聞くと、返ってきた答えは「僕はここがうまく走れないから、(エリートたちの)乗りかたを見てるんだ」だった。これには驚いた。というより、「目から鱗が落ちる」というやつだ。自分は、颯爽と走るエリートライダーたちを、ただただ、「へー、やっぱ凄いわ。あんなとこもろもいけちゃうんだ」という視点だけで観ていた。
ところがU太は、エリートたちの走りを、自分の走り方と比べながら観戦していたのだ。「どうやったら、あんなふうに走れるんだろう」と。
「おそれいった!こいつはやるな」と、Yosはそのとき思った。

このところ、新しい何かが動きだした気がする。近い将来、何かが起こる気がする(って、もちろん大地震とかじゃないよ)。そのとき、幸せの天使は、きっと自転車に乗ってやって来る。金メダルを持ってやって来るのだ。(著者注:この予言は的中し、昨年8月4日の全国小中学生MTB大会で、Shokaが優勝し、チームMOMOに金メダルをもたらしました)
Yosの影響でk、genが自転車に乗り始めたころ、週末ごとに、家事も子守もさせずにgenをサイクリングに連れ出すことにたいして、Shokaママ(今やSKM48さん)から「Yosが諸悪の根源よ!」と叱られたころが懐かしい。諸悪の根源は、英語で言うと「Hub of evil」だ(厳密には「悪の枢軸」)。この言葉はブッシュ前アメリカ大統領が、イラクのフセイン大統領を指して使った言いまわしとして一躍有名になった。
この「Hub」は、自転車のホイールのハブと同じ言葉だ。ちなみにハブが初めて使われたのは5千年前の古代エジプトの戦車「チャリオット」で、なんとそれは、砂漠の悪路を行くためのサスペンション機能まで備えていたというから、古代エジプト人の叡智には驚かされる。

話を戻して、「ハブ」という言葉そのもの語源は、「中心にあって、ぜんたいを支え、そしてぜんたいに影響を及ぼす存在」というところだろうか。
そしてなんと、なんと!古代エジプトのチャリオットと、自転車を意味する「チャリ」には…もちろん何の関係もない。あったらスゴイのだけどね。
今、僕たちにおけるそのHubは、間違いなくgenだろう。けれどもそれは「諸悪」のHubではなく、「幸せのHub」だ。だからって、genが自転車に乗ってやってくる天使ってわけじゃないけどね。天使は髭を生やしていない。そしてYosがShokaママからハブ(んちょ)にされる心配も、もうないだろう。(もうエエわ!)
いつだったか、レースからの帰り道、子供たちの寝息が後ろから聞こえるエルグランドの中で、genが言った言葉を忘れない。
「もしもYosさんに出会ってなかったら、今のような自転車人生はなかったなあ」と、そのときgenは言ったのだった。その言葉は、Yosの心の中で、宝物になった。

Yos自身、もうずいぶん昔にも思えるあの日に、イーゼルに乗ったブラックボードを見て、バイクルームSINという、マンションの奥にある(あった)怪しげな小さな自転車屋に足を踏み入れなかったら、今の人生はなかっただろう。
そこは、ロードバイクもマウンテンバイクも平等に扱う、稀有な自転車屋だった。よく、ロードバイク至上主義というか、「ロードがマウンテンより上」と考えている自転車乗りやショップを見るが、それは違うと思う。
実際に食ったこともない料理のことを、「あれは不味い」とは言えないだろう。だったら自転車に関しても、乗りもしないで、「マウンテンよりロードが上」とは思ってはならない。
自転車は、ロードもマウンテンも等しく素晴らしい。だからどちらも乗るのが、一番いい。
自転車にさしたる興味のない人たちは、僕たちが乗っているスポーツバイクを見て、開口一番、「これ、高いでしょ?いくらぐらいするの?」と聞く。最近はバカらしくて、本当の値段は言わない。「ええ。けっこう高いですよ」と適当に答えることにしている。
本当の値段を言うと、「ええ~!自転車に」という異口同音の言葉が返って来るが、自分を幸せにしてくれた、「人生最高の買い物」の値段だと思えば、それはそんなに高い値段じゃない。
自転車に出会えて、本当によかった。自転車のおかげで、素敵な仲間たちにも出会えた。彼らのいない人生と、自転車のない人生など、もはや考えられない。

「飯を食う、寝る、自転車に乗る」この3つは、僕たち自転車乗りにとって、どれも欠かすことができない、等しく必要なことのだ。
だってそれがないと、死んでしまうのだから。(完)


posted by Yos at 11:38 | Comment(2) | MOMOがゆく | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なつかしいですね〜って、一年しかたってませんね(^_^;)
ずいぶん、前な気がします。
みんな成長しましたね〜
週末はYosさんのあまりのパワーにチェーンがきれた山に行く予定です(^_^;)
Posted by Upapa at 2014年06月13日 00:07
イーゼルに乗った手作り感満載のボードには奥にお店があると書いてあるけれど、階段で入り口が隠れているから結構近くに行って覗かないと入り口は見えなくて、入り口見えたとおもったら、今度はマンションの玄関だから中の様子が見えなくて…と思っていると、夏には蚊が沢山いて刺されちゃう…そんな感じでしたね。五丁目スポーツも懐かしい!ホント色々懐かしいです。
しかし、短い間のMOMOのみんなの成長ってすごいなって思います。

Posted by マコト at 2014年06月16日 22:46
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